今回は、エコキュート利用者が困ってしまう『お湯を利用中にお湯切れしてしまう…』ことの対策についてご紹介します。

エコキュートは、他の給湯器よりも給湯コストを下げられると人気の給湯器ですが、一日に使用するお湯をまとめて沸かして、貯湯タンクに貯めておきするという運用になっています。貯湯タンクにお湯を貯めるというシステムのため、深夜帯の電気代が安くなるプランを契約すれば、さらに給湯コストを下げることができるというメリットがあるのですが、一方で貯湯タンクの選択を間違ってしまうと、使い勝手が非常に悪くなるというリスクがあるのです。

エコキュートの貯湯タンクは、いくつかの大きさが用意されており、家族構成や普段の生活スタイルから、ご自宅に最適な大きさを選択します。もちろん、タンク容量が大きくなるほど初期コストが高くなりますので、導入コストを下げようと思えば、より小さなタンク容量を選ぶことになります。

しかし、お湯が必要になった時に、タンクから給湯するシステムになっているため、本来必要な容量が足りないものを選択してしまうと、シャワー中に突然お湯が出なくなってしまう…など、困ってしまうこともあるのです。

こういったエコキュートの『お湯切れ』は、システム上のデメリットとして捉える人もいますが、きちんとお湯切れしないように注意すれば問題ないはずです。そこで今回は、エコキュートを利用中にお湯切れが発生する理由や、お湯切れさせないための対策をご紹介します。

エコキュートの『お湯切れ』はなぜ起こる?

それでは、エコキュートを利用している場合に「なぜお湯切れが起こってしまうのか?」という疑問についてご紹介していきましょう。

冒頭でご紹介したように、エコキュートはガス給湯器のように「必要な時にお湯を作る」といった瞬間式の給湯器ではなく、一日に必要なお湯をタンクに貯め置きしておくという貯湯式の給湯器となります。つまり、貯湯タンクに貯めていた以上のお湯を使い、タンクのお湯を使い切ってしまうとお湯切れが発生してしまうのです。そのため、初めてエコキュートを購入する場合には、家族構成や生活スタイルを考えて、必要量のお湯を貯められるタンクサイズを選ばなければいけません。メーカーによって多少の誤差はありますが、一般的なエコキュートのタンク容量は以下の3種類となっています。

  • 460L:4~7人 家族にオススメ
  • 370L:3~5人 家族にオススメ
  • 320L:2~3人 家族にオススメ

エコキュートは、基本的に選択したタンク容量のお湯を夜間に貯めておき、キッチンやお風呂などでお湯が必要な時には、タンクから給湯するのです。ちなみに、タンクに貯めているお湯は熱湯状態になっていますので、給湯する場合には水道水と混ぜ合わせて設定温度に調整したうえで蛇口からお湯が出ます。つまり、タンクのサイズ以上のお湯は使用できるということです。

ここまでのエコキュートの仕組みが理解できれば「なぜお湯切れが起こってしまうか?」は分かりますね。エコキュートを導入しているご家庭で、お湯切れが発生してしまうのは、主に以下の2つの理由です。

  • 使用容量や環境に対してタンクが小さすぎる
  • 普段よりも多くお湯を使った

以下でそれぞれの理由についてもう少し詳細にご紹介しましょう。

① タンク容量が小さすぎる…

エコキュートがお湯切れしてしまう…という場合の最も大きな原因は、購入したエコキュートのタンク容量が家族構成やライフスタイルに対して小さすぎるというものです。

上述しているように、エコキュートは一日に使用するお湯をまとめて沸かしてタンクに貯めておくものですので、それ以上の量を使うような生活習慣の場合、頻繁にお湯切れを起こしてしまうことになるでしょう。

もちろん、タンクのお湯が切れてしまった場合、沸き増しすればお湯の使用を再開できるのですが、お湯が少なくなった状態からお湯を作る場合、使えるようになるまで1時間程度の時間がかかってしまうのです。エコキュートは、お湯を使えばタンクが空になると考えている人がいますが、実は使った分だけ水が給水されるようになっているため、お湯切れ状態からお湯を作る場合には時間がかかるのです。さらに、電気代が割高な時間にお湯を作ることになりますので、エコキュートの省エネ効果もなくなってしまうというWパンチになります。

② 普段よりもお湯の使用量が増えてしまった…

最近のエコキュートには学習機能が搭載されており、普段のお湯の使用方法などを自動で判断し、最も低コストで運用できるようにお湯を貯めてくれるような機能がついています。

この機能をオンにしておけば、自動で賢く運転してくれるためとても便利なのですが、普段の生活習慣から必要以上のお湯を沸き増しするようなことがありません。そのため、年末年始などで宿泊の来客などがあった場合、普段以上のお湯を使うことになりますので、エコキュート自体が判断した湯量では足りなくなってしまう…ということがあるのです。

これはエコキュートの盲点とも言えるポイントなのですが、直近2週間程度の使用湯量などから「どれだけお湯を作ればいいか?」を学習する機能になっているため、季節の変わり目でお湯の使用量が変わってしまう時などにも発生するお湯切れ事例となります。

お湯切れさせずにエコキュートを使うには?

エコキュートのお湯切れ原因がわかったところで、どうすればお湯切れもさせずに利用できるのかを考えてみましょう。

適切なタンク容量を選ぶ

エコキュートのお湯切れを防ぐために最も重要になるのは「家庭に最適なタンク容量を選択する」ということです。エコキュートのタンク容量は、家族構成などを目安に推奨サイズが決まっていますが、普段の生活スタイルも加味しないといけません。例えば、3人家族だとは言え、3人とも毎日スポーツをしていて、シャワーを頻繁に浴びる…などと言うご家庭であれば、おそらく推奨サイズのタンク容量では頻繁にお湯切れしてしまうでしょう。

したがって、エコキュートを購入するときには、家族構成だけでなく、普段どの程度のお湯を利用しているのかもきちんと計算しましょう。なお、既にエコキュートを導入している方で、タンク容量が全くあっていなかった…と、毎日容量不足に悩まされているのであれば、一思いにタンク交換をした方が賢明です。エコキュートの省エネ効果は、最適なタンク容量があってこそです。

エコキュートの機能をきちんと理解する

エコキュートには、適切な湯量を自動で判断してくれる「おまかせモード」が搭載されているものがあります。しかし、この機能を過信しすぎてしまうと、急な来客でお湯切れを起こしてしまう…季節の変わり目にお湯切れを起こしてしまう…など、逆に使い勝手が悪くなってしまう場合があるのです。

したがって、使用湯量が増えるとわかっている場合などは、こういった機能を切っておき、満タンまでお湯を貯められるように設定を変えておくのがオススメです。また、複数人の来客があるような場合、導入しているエコキュートのタンク容量では、どうやってもお湯切れの可能性が高い…と考えられるケースもあるでしょう。このような時には、日中の沸き上げを停止するような機能は切っておき、常に満タンになるような設定をすると良いでしょう。電気代はかかってしまいますが、お湯切れは防ぐことができるでしょう。

まとめ

今回は、貯湯式の給湯器であるエコキュートについて、日常生活で困ってしまう「エコキュートのお湯切れ」の基礎知識をご紹介しました。

この記事でご紹介したように、エコキュートは、一日に使用するお湯をまとめて沸き上げする給湯器となります。そして沸かしたお湯を貯湯タンクに貯めておき、必要な時にタンクから給湯するというシステムになっているのです。そのため、タンクに貯めている以上のお湯を使ってしまうと、シャワー中に突然お湯が出なくなってしまう…など、お湯切れが発生してしまうのです。

エコキュートを購入するときには、普段の生活の中でこういったトラブルが起きないよう、家族構成やライフスタイルを考えて、十分な容量を持つタンク容量の物を選ばなければいけません。とはいえ、普段自分がどの程度のお湯を利用しているかさっぱり分からない…という方も多いかと思いますので、まずは販売店の方に相談してみると良いでしょう。