今回は、エコキュートの導入を考えている方に向けて、エコキュートに付属されている機能に関する基礎知識をご紹介したいと思います。

近年では、家庭の給湯システムに関しても、さまざまな種類が登場しており、中にはお湯を作るためのエネルギー源から異なる…という場合もあるほどです。日本国内で考えれば集合住宅など、給湯器のためにそこまで大きなスペースを確保できない住宅も多く、小さなスペースで設置できるガス給湯器が広く普及しています。しかし、最近では環境負荷も少なく給湯コストを大幅に削減できると言われるエコキュートの人気が急上昇しています。このエコキュートは、電気を使ってお湯を作る給湯器なのですが、エアコンなどにも利用されているヒートポンプ技術を採用しているため、大気中の熱を効率よく活用してお湯を作ることができるのです。

日々のランニングコストを削減できるということは、住宅設備としては非常に大きなメリットと言えるため、今までガス給湯器を利用していた人がエコキュートに入れ替えするということも多いです。しかし、ガス給湯器からエコキュートに入れ替えする人の中には、エコキュートに付属されている機能について勘違いしていることもあると言われています。

そこで今回は、日々のお風呂の際に使用する『足し湯』と『追い炊き』について簡単にご紹介します。

エコキュートの勘違いについて

ガス給湯器を利用している方の中には、「エコキュートは追い炊きできない…」と考えている人が多いと言われています。これは、エコキュートの給湯器としての特徴から出てくる勘違いです。上述したように、エコキュートはエアコンと同じく、ヒートポンプ技術を利用して大気中の熱を効率よく使うことによってお湯を沸かす給湯器です。そして、そのお湯は、ガス給湯器のように必要な時に必要な分を作るのではなく、電気代が安い深夜帯などにまとめて作り置きし貯湯タンクに貯めておくのです。エコキュートが貯湯タンクと一体となっているのは、このためです。

つまり、「エコキュートは追い炊きできない…」と考えている人は、あらかじめ作り置きされているお湯を水で薄めて給湯するというシステム上、「追い炊きができないのでは…?」と考えるわけです。さらに、エコキュートには『足し湯』という機能が付属されており、エコキュートの開発・販売を行うメーカーなどからは、『足し湯』を利用することが推奨されています。これもエコキュートが追い炊きできないと考えられる要因の一つでしょう。

しかし実際には、エコキュートには『追い炊き』機能を持っている機種も普通に存在しています。エコキュートは、搭載される機能によって3つのタイプに分類されるのですが、『フルオート』タイプと呼ばれるものには追い炊きや足し湯の機能がついています。フルオート以外には『オート』『給湯専用』と呼ばれるタイプがあるのですが、これらのエコキュートには追い炊きや足し湯の機能はありません。

エコキュートの追い炊き機能について

給湯機に付属されている『追い炊き』機能は、簡単に言うと「お湯を沸かし直すこと」を言います。つまり、ぬるくなったお湯に熱湯を加えて温度を上げるのではなく、今あるお湯を沸かし直すわけです。

こう聞くと、貯湯タンクに貯めたお湯を給湯するエコキュートの場合、「お風呂のお湯をタンクに戻し、沸きなおしするのか…不衛生ではないか?」と考えてしまう人も多いです。実際にエコキュート導入の打ち合わせ時などには、「追い炊きの際、タンクのお湯とお風呂のお湯が混ざらないのか?」といった質問を受けることも少なくありません。

結論から言いますが、エコキュートの追い炊き機能を利用しても、タンクのお湯とお風呂のお湯が混ざるようなことはありません。

エコキュートの追い炊き機能は、タンク内の熱湯を利用するのは間違いないのですが、貯めている熱湯と混ぜてもう一度沸かし直しをするわけではないのです。この機能は、熱交換器で、タンクに残っている熱湯の熱量を使ってお風呂のお湯を温め直すという仕様になっています。つまり、お風呂のお湯をタンクにもう一度入れるようなこともなく、温め直すことができるのです。

エコキュートの追い炊き機能の注意点

エコキュートは、追い炊き機能を使用すると、使用可能湯量が減ってしまうので注意しましょう。上述したように、エコキュートの追い炊き機能は、タンクのお湯を直接利用するのではなく、熱湯の熱量を利用するものです。つまり、タンクに残っているお湯の温度が下がってしまう訳です。

エコキュートによる給湯は、タンクのお湯と水道水を混ぜ、設定された温度に調節し給湯します。ここまで説明すればわかると思いますが、タンク内のお湯の温度が下がれば、適温にしたお湯の量も減ってしまうというからくりです。

エコキュートの足し湯機能について

エコキュートの『足し湯』機能については、そこまで複雑な機構ではありませんので理解しやすいと思います。しかし、足し湯機能にも「足し湯」と「高温足し湯」の2つの機能がありますので、それぞれの意味はおさえておきましょう。

  • 足し湯機能 ⇒ タンクの熱湯と水をまぜて適温のお湯を追加する
  • 高温足し湯 ⇒ タンク内の熱湯をほとんど薄めず、60℃~80℃の高温状態で足し湯をする

このように、同じ足し湯機能なのですが、微妙に意味合いが異なるのです。機能の違いからイメージできると思いますが、お風呂の温度は問題ないけどお湯が少ない場合は通常の「足し湯」機能を利用し、お風呂のお湯がぬるくなった場合に利用するのが「高温足し湯」になります。

高温足し湯は追い炊きよりお得!

エコキュートを利用する場合、ぬるくなったお湯を温めるには、どの方法が正しいのでしょうか?上述したように、エコキュートは『追い炊き』と『高温足し湯』という2つの手法によってお湯を温め直すことができますので、「どっちがお得なのだろう?」と疑問に思う人は多いと思います。

答えから言ってしまいますが、お風呂のお湯を温め直す場合、『高温足し湯』の方がお得になります。「なぜか?」ということに関しては、どうやって温めているかが関わっています。

  • 追い炊き ⇒ ぬるくなった浴槽のお湯を循環させ温め直す。新たにお湯を追加しないので水道代はかからない
  • 高温足し湯 ⇒ ぬるくなったお風呂の湯を少し減らして、そこに高温のお湯を追加して温め直します。つまり、水道代も多少かかります。

『追い炊き』も『高温足し湯』も最終的な目的は「お風呂を再度温める」という点で一緒なのですが、やり方はかなり異なります。そして、『高温足し湯』の方がお得になるのは、追い炊きは熱交換器を使って間接的に温める手法なのに対して、足し湯は高温のお湯を直接追加して温めるため効率的だからです。さらに、現在の日本では、水道代よりもお湯を沸かすために利用する電気代の方が高くついてしまうため、追い炊きの方が損になってしまうのです。こういった理由から、メーカーなどでも『足し湯』が推奨されています。

まとめ

今回は、エコキュートの導入を検討している方がぜひ知っておきたい、エコキュートの足し湯や追い炊き機能の詳細についてご紹介してきました。近年の給湯器は、どんどん性能が向上しており、さまざまな便利機能が付属されるようになっています。しかし、それぞれの便利機能に関しては、なんとなく使うのではなく、どういった働きを持っているのかなど、詳細まで確認しておくのがオススメです。この記事でもご紹介したように、似たような機能だったとしても、やり方が異なることから、間違った機能の使い方をしてしまうと余計な光熱費が掛かってしまう結果になるのです。

現在、他の給湯器からエコキュートへの入れ替えをご検討中の方で、エコキュートの機能や使い勝手に関して不安に思っていることがあれば、お気軽に弊社までお問い合わせください。まじめデンキでは、経験豊富なスタッフが揃っていますので、お客様のご質問に的確にお答えいたします。