近年では、家計にかかる給湯コストを大幅に削減することが期待できると、ガス給湯器からエコキュートへ入替する方が増加しています。

ガス給湯器は、必要な時に必要な分だけお湯を作ることができる『瞬間式』の給湯器なのですが、エコキュートは、貯湯タンクが一体となった給湯システムで、電気代が安くなる深夜帯にお湯を作り置きして置けることで高い光熱費削減効果を期待できるのです。また、大量のお湯を貯湯タンクに貯めておけるため、自然災害時にはタンクのお湯を非常用水としても利用できるようになるため、災害対策の面でも有利になることが人気の理由のひとつとなっていると言われています。

しかし、このエコキュートという給湯システムは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクの設置が必要になるため、マンションなどでも壁掛け設置ができるガス給湯器などと比較すると、設置のために広いスペースが必要になることや、設置工事自体が大掛かりになりがちという点を不安視する方が多いようです。

そこで今回は、エコキュートの導入を検討した場合に、設置工事はどういった流れで進んでいくものなのかを簡単にご紹介しておきたいと思います。

一般的なエコキュート導入の流れについて

それでは、一般的なエコキュート導入時の流れをいくつかのステップに分けてご紹介していきます。エコキュートを導入する場合の基本的な流れを簡単に紹介すると、『導入する機種を決める⇒設置場所を決める⇒基礎工事⇒配管工事』といった感じになります。

エコキュートの導入を検討した場合、「設置のためのスペースがある」ということが大前提となりますので、住宅密集地などで「うちはスペース的に厳しいかな…」と思う方は、機種選びをする前に「設置が可能なのか?」を専門業者に見てもらっておくのがオススメです。

以下でご紹介する流れは、エコキュートの機種選びが終わってから、実際に設置が完了するまでの流れです。

STEP1 エコキュートの設置場所を決定する

どのエコキュートを導入するか決まれば、まず「どこにエコキュートを設置するのか?」ということを決めなければいけません。冒頭でも少し触れましたが、エコキュートは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクの設置が必要になるため、壁掛け設置が可能なガス給湯器などと比較すると、かなり広いスペースが必要です。当然、エコキュートを設置するためのスペースが確保できない場合には、導入することができません。 ここで、一般的に、エコキュートを導入するために必要になるスペースの目安をご紹介しておきましょう。もちろん、エコキュートはメーカーや導入する機種によって微妙に大きさが異なりますので、『エコキュートを設置するなら〇〇㎡のスペースがあれば問題ない!』などと、一概に言えないのですが、ある程度の目安はあるのです。一般的なエコキュートの大きさは、

  • 貯湯ユニット⇒幅550~650mm、奥行き600~750mm程度 (角型の場合)
  • ヒートポンプユニット ⇒幅900mm前後、奥行き300mm前後

となります。なお、貯湯タンクとヒートポンプは、600mm程度の隙間を開けて設置しなければいけませんので、設置床面積の目安は『幅2100mm、奥行き750mm』程度と考えておきましょう。

それでは、エコキュートの設置場所を決める場合の注意点もご紹介しておきます。エコキュートは、設置のためのスペースがあれば、確かに導入することはできます。しかし、導入後の運用を考えた場合、いくつか注意しておかなければいけないポイントがあるのです。まず、エコキュートによる『騒音トラブルの可能性』です。エコキュートの光熱費削減効果は、電気代が安い深夜帯にお湯を作ることで生まれます。しかし、周囲が寝静まった時間帯に稼働することから、エコキュートの駆動音による近隣トラブルに発展することがあるのです。エコキュートの駆動音は、日中であれば気にならない程度の音しかなりませんが、周囲が静かな深夜であれば、騒音や振動が気になる…という人がいるのです。実際に、エコキュートの騒音問題で訴訟沙汰にまで発展したケースもあるので、隣家との距離が近い場合には、防音・防振対策などを進めておくべきでしょう。また、ご家族に関しても、寝室の真横などにエコキュートを設置した場合、微妙な振動が睡眠障害に発展する…などと言ったことになりかねないので、注意が必要です。

エコキュートの設置スペースを決定する場合には、上記のようにいろいろと考えなければいけないこともありますので、専門業者のアドバイスのもと決定すると良いでしょう。

STEP2 基礎工事を進める

エコキュートの設置場所が決定すれば、いよいよ本格的な設置工事がスタートです。まずは、エコキュートを構成するヒートポンプや貯湯タンクを設置するスペースに基礎工事を進めます。この時には、既存給湯システムの撤去も行うのですが、もともとガス給湯器を使用していた人で、給湯器以外にガスを利用していない…という場合にはガス会社との契約を解除するのを忘れないようにしましょう。今後もコンロなどにガスを利用する場合は、そのままで構いません。

実際の基礎工事に関しては、古くなったエコキュートを新しいものに入れ替えする…といった場合には、もともと使用していた設備の配管などが再利用できる場合もありますので、必要に応じて改良することとなります。ガス給湯器などからエコキュートに入れ替えする場合には、コンクリートを流し込んだり、砂利を敷いたりしてエコキュートの土台を作ります。注意が必要なのは、「エコキュートを設置するときには丈夫な土台を作らなければならない」ということです。旧エコキュートの入れ替えなどを依頼され、いろいろな現場を見てきましたが、時には非常に貧弱な基礎の上にエコキュートが設置されている…という現場も少なくありません。中には、テキトーなブロックを配置し、その上にエコキュートを据え付けただけで、本体が斜めに傾いているような状態になっている場合もあるのです。しかし、こういった不安定な据え付けは非常に危険ですので、しっかりとした基礎工事を行ってもらうように指示しなければいけません。

エコキュートは、そもそもの重量が60~100kg程度もある重量物なうえ、そこにお湯を貯めていく給湯器です。したがって、貯湯タンクにお湯が入っている状態になると、500kgを超えるような重量になってしまうのです。このような重量物なのに、基礎が貧弱であった場合、地震や台風などの自然災害が発生した時には、揺れや強風に耐えられず、エコキュートが転倒してしまう…といった事故に発展しかねないのです。エコキュートの基礎は、設置予定場所に『縦横80cm、厚さ10cm以上』程度のコンクリートスペースがあれば、改めて基礎工事の必要はありませんが、そうでないならきちんとエコキュートの土台が必要になります。なお、エコキュートの基礎は、以下の2パターンがあります。

  • 現場打ち・・・現場で型枠を作って生コンクリートを流し込む手法
  • エコベース・・・既製品のコンクリートを土台として設置する手法

2つの手法の中で、エコベースの方が工期を短縮でき安価に工事ができるのですが、もともとの地盤が不安定の場合は設置ができないと覚えておきましょう。

STEP3  エコキュートを設置する

土台が完成すれば、そこにエコキュート本体の設置工事を行います。エコキュート本体の設置を進める手順は、以下のように進めるのが一般的です。

  1. 浴室に配管用の穴をあけ、浴槽にアダプターを設置。併せて屋内用リモコンの設置や配線工事を行います。
  2. STEP2で作った土台に貯湯タンクをしっかりと固定する。たまに、斜めになった状態で貯湯タンクの設置がなされている場合があるのですが、絶対に水平になるように設置しなければならないと覚えておきましょう。
  3. これらの製品の設置が完了したら、給水・給湯・風呂・排水などの配管や電気回線をつなげていく。
  4. ヒートポンプユニットも転倒しないようにしっかりと固定し、貯水タンクと配線で繋げる。
  5. 各種配線にきちんと配線カバーを施せばエコキュートの設置は完了です。

一般的に上記のような流れでエコキュートの設置は進みます。設置完了後に、動作チェックとして試運転を行い、問題が無ければエコキュートの導入は完了となります。

なお、注意が必要なのは、既存設備の土台を再利用する場合で、旧製品の固定に使っていた穴は、しっかりと埋めておかなければいけないということです。これを怠ると、穴に雨水が侵入してしまい、そこから基礎がもろくなってしまう場合があるのです。

まとめ

今回は、エコキュートの導入を検討している方のために、一般的なエコキュート設置の流れをご紹介しました。基本的には、エコキュートの機種と設置場所を決めれば、施工業者がきちんと工事を進めてくれますので、お客様自体が何らかの作業をする必要はありません。しかし、何の確認もせずに業者任せにしてしまうと、貧弱な基礎の上に設置されてしまったり、傾いた状態で設置されていたりする場合があるので、きちんと施工状況は確認しておきましょう。

一般的にですが、エコキュートの設置にかかる費用は10~20万円程度が相場となり、それが上限となるか下限となるかは、設置する場所の条件によって変わります。例えば、基礎にエコベースを利用する、既存の配管が再利用できるなどとなれば設置工事にかかる費用を抑えることも可能だと思います。

現在、エコキュートの導入を検討中の方で、ご自宅に導入できるか不安…という方はお気軽にお問い合わせください。まじめデンキでは、豊富な施工実績をもとに、最適な機種選びや設置場所の選定までアドバイスさせていただきます。