今回は、エコキュートの導入をお考えの方が、機種選びをする際にぜひ押さえておきたいポイントについてご紹介したいと思います。

エコキュートは、電気でお湯を沸かす給湯システムで、ガス給湯器などと比較しても、光熱費削減効果が非常に高いということで、近年人気が高くなっています。しかし、どんどん人気が上がっていく一方で、エコキュートの開発・販売に参入するメーカーも増加しており、非常に豊富な機種が登場して「どれを選べば良いのか困ってしまう…」という声をよく耳にするようになっています。選択肢が多いというのは、消費者にとっては大きなメリットになると思われがちですが、多すぎる選択肢となると逆に困ってしまうものなのです。

さらに、エコキュートに関しては、機能的な面だけで選べば良いのではないという点も「どれを選べば…」と困ってしまう原因になっています。エコキュートは、ガス給湯器のように瞬間的にお湯を作るシステムではなく、貯湯タンクにお湯を貯め置きしておくというシステムになっています。そのため、家族構成などや普段の生活スタイルに合ったタンク容量を選択しなければ、シャワー中にお湯切れを起こしてしまい、困ってしまう…なんてことになりかねないのです。

そこで今回は、エコキュートの機種選びをする際には、絶対におさえておきたいエコキュートのタンク容量の基礎知識をご紹介します。

エコキュートのタンク容量について

シャワーを持つ女の子の写真

それではまず、基本となるエコキュートのタンク容量について簡単にご紹介しておきましょう。冒頭でご紹介したように、エコキュートは瞬間的な湯沸かし器ではなく、あらかじめお湯を貯湯タンクに作り置きしておくというものです。これにより、安い深夜帯の電気を使ってお湯を作り、光熱費削減を目指すというメリットを得られるわけです。逆に言えば、夜間に作り置きした以上のお湯を日中に使用してしまい、お湯切れを起こした場合には、電気代が高い日中に沸き増しする必要があり、エコキュートが持つ電気代削減効果を最大限生かすことができなくなってしまうのです。

つまり、エコキュートの機種選びをする場合には、家族構成や普段の生活スタイルをよく考えて、通常利用中にお湯切れしてしまうことが無いようなタンク容量のものを選ばなければいけないということです。エコキュートのタンク容量に関しては、メーカーによって多少の違いはあるもの、『370L』、『460L』、『550~560L』の3つのサイズが基本となりますので、普段のお湯の使用量を計算して、どのサイズが最適なのか考える必要があります。 ちなみに、最近では、単身マンション用など、少人数で使うことを想定されたタイプも登場していますので、そういったタイプはもう少しタンク容量が小さいです。このタイプのエコキュートは、パナソニックで『300~195L』、三菱で『300~177L』、ダイキンで『320L』などのサイズが用意されており、ネオキュートなどの名称で展開されています。どちらにせよ、エコキュートが持つ光熱費削減効果を最大限利用するには、家庭で利用するお湯の量に合ったタンク容量のものを選ばなければいけないのです。

一般的なお湯の使用量は?

エコキュートの基本的なタンク容量がわかったところで、一般的な生活で使用するお湯の量の目安もご紹介しておきましょう。

エコキュートを上手に活用するためには、「1日に家庭で使用するお湯の量」に適したサイズのタンク容量を選択しなければいけません。したがって、一日にどの程度のお湯を家庭で使用しているのかは掴んでおく必要があるでしょう。もちろん、季節によってシャワーの頻度などが変わってきますの、以下で紹介する数値はあくまで参考程度に考えてください。

  • お風呂の湯船を貯める場合の湯量 ⇒ 180L
  • 一回のシャワーで利用する湯量 ⇒ 80L(1回/8分)
  • 1日の洗面・洗い物・手洗いなど ⇒ 30L

上記を参考に、ご家庭で一日にどの程度の湯量を消費しているのかを計算してみると良いでしょう。

実際にタンク容量を選ぶ場合のポイント

エコキュート設置 写真

それでは、実際にエコキュートを選ぶ場合に注意しておきたいタンク容量のポイントをいくつかご紹介しましょう。上で紹介した一般的な湯量を参考に、家族構成4人で計算してみると、1日で約620Lのお湯が必要になる計算です。この場合、「エコキュートの最大容量は550L程度なのに、全然足りない…」と不安になってしまう人が多いかもですね。

もちろん、そういう訳ではないのでご安心ください。そもそもエコキュートに記載されているタンク容量に関しては、『タンク容量=使用できるお湯の量』という訳ではありません。タンク容量とは、あくまでもタンクに貯めて置ける最大湯量のことで、「容量:370L」の場合はそのまま370Lの熱湯を貯めて置けるということです。実際にこのお湯を、お風呂や手洗いに利用する場合、熱湯のままで使用するわけでもなく、ちょうど良い温度帯にするため水道水と混ぜて蛇口から供給することとなるのです。つまり、エコキュートを導入して実際に使用できる湯量は、記載されているタンク容量の2倍程度と考えておきましょう。 以下で、家族構成ごとにオススメのタンク容量もご紹介しておきます。

3~5人家族の場合にオススメなタンク容量

3~5人家族の方がエコキュートを導入する場合には、「容量:370L」のものがオススメです。一般的に、エコキュートの設定温度42℃で、水温9℃の場合、タンク容量が370Lのエコキュートであれば、約680Lのお湯が使える計算となります。

したがって、まだお子様が小さい家族構成であればシャワー時間もそこまで長くないと想定できますので問題なく運用が可能となります。お子様が成長し、部活などで夏場は頻繁にシャワーを利用する…などとなると、少し心もとないかもしれません。

4~7人家族の場合にオススメなタンク容量

二世帯住宅など、比較的人数の多いご家庭であれば、460L程度のタンク容量がオススメです。上述した設定温度と水温の場合、約840Lのお湯が利用できると言われていますので、十分な湯量を確保できていると言えるでしょう。

ただし、二世帯住宅などの場合、お正月休みなどで遠方からご家族が帰省し、一気に使用する湯量が増加してしまう…ということも考えられます。そういった場合には、お湯切れしてしまうこともあるでしょう。

大家族の場合にオススメなタンク容量

上述した家族構成以上の人数のご家庭や、家族全員がスポーツをしており、皆が頻繁にシャワーを利用する…などと言った場合、550Lなど大容量のエコキュートがオススメです。

エコキュートは、頻繁に沸き増しが必要になった場合、メリットである電気代削減効果を得られなくなってしまいます。したがって、ギリギリのタンク容量のものを選ぶぐらいであれば、ワンランク上のものを選んでおくのがオススメです。

まとめ

今回は、エコキュートの導入を考えた際、タンク容量選びで失敗しないため、おさえておきたいタンク容量の基礎知識や選び方をご紹介しました。本稿でもご紹介したように、エコキュートという給湯システムは、電気代の安い深夜帯の電気を使ってお湯を作り、それをタンクに貯めておくというものです。したがって、あらかじめ貯めおいたお湯が足りなくなってしまい、日中に沸き増しが必要になってしまうと、エコキュートの電気代削減効果を最大限に生かせなくなってしまうのです。

エコキュートの導入を検討した場合には、機能ばかりに注目するのではなく、家族構成や普段のライフスタイルを考えて「一日にどの程度のお湯を消費しているのか?」という視点も重要になると覚えておきましょう。エコキュートは、タンク容量が大きくなるにつれて、価格も上昇してしまいますので、「できるだけ小さなタンク容量のものを…」と考えるかもしれません。しかし、エコキュートは購入してから10年以上の長期間使用していくものですので、最適な使い方が出来る物を選ばなければ、結果的に損してしまうことになりかねないのです。また、頻繁にお湯切れを起こしてしまうと、すぐにお湯を使いたいのに、お湯が沸くのを待たなければならない…など、使い勝手も悪くなってしまいます。 エコキュートを選ぶ時には、導入費用が多少高くなったとしても、ワンランク上のサイズを選んでおくと安心かもしれないですね。