上下水道が整備されている日本ですが、地域によっては普段の生活に使用する水を『井戸水』で賄っている地域もまだ存在しています。井戸水が生活用水として利用できるご家庭であれば、水道代が節約できるという大きなメリットがあるのですが、給湯にかかるコストが削減できない…と悩んでいる方も少なくありません。

特に、近年家庭の給湯コストを大幅に削減できると人気になっているエコキュートを考えてみれば、多くのメーカーが「井戸水は使用できません!」という注意書きを入れているなど、給湯コストを何とか安くしたいけれど、エコキュートは導入できない…と残念に思っている人がいるようですね。

しかし、あまり知られていないことかもしれませんが、エコキュートの中にも『井戸水』の利用が可能な機種も存在しているのです。そこで今回は、井戸水を利用しているご家庭でも利用できる『井戸水対応型エコキュート』のご紹介をしたいと思います。

エコキュートと井戸水の関係性について

それではまず、生活用水を井戸水で賄っているというご家庭のため、人気の給湯器『エコキュート』と井戸水に関する基本的な関係性からご紹介しておきましょう。

エコキュートが「井戸水NG」と言われる理由は?

まず、同じ水なのに、「なぜエコキュートで井戸水がNGとされるのか?」という疑問からご紹介していきましょう。

一般的なエコキュートに関しては、取扱説明書などでも「井戸水は使えません」などの注意書きが書かれています。「同じ水なのに、なぜ井戸水がダメなの?」と疑問に思う人は多いかもしれませんが、その理由のひとつとして井戸水に含まれる成分があげられます。井戸水などの地下水は、カルシウムなどの成分が多く含まれており、エコキュートの故障を引き起こしてしまう要因になるのです。例えば、このような水でエコキュートを使用した場合、熱交換器に固体成分が生じてしまう恐れがあります。当然、井戸水でエコキュートを使い続ける限りカルシウムの固体成分が生じてしまうことになりますので、エコキュート内部で目詰まりなどが起きて故障を引き起こしてしまうのです。

このような理由もあり、長年井戸水が使えなかったエコキュートですが、いくつかのメーカーでは、井戸水によるエコキュートの故障を回避する仕組みを開発しています。したがって、最近のエコキュートの中には、井戸水を利用しているご家庭でも導入できる機種があるのです。

井戸水対応のエコキュートがあるメーカーは?

それでは、井戸水対応のエコキュートを販売しているメーカーをいくつかご紹介しておきましょう。

上述したように、一般的なエコキュートに関しては、「井戸水を使用しないでください」という注意書きなどがあり、井戸水を生活用水として使用しているご家庭では導入できないのです。しかし、多くのメーカーの中でも以下のメーカーが販売するエコキュートの中には井戸水に対応している機種があります。今まで、家庭で使用する水の問題でエコキュートの導入を諦めていた方は、以下のメーカーの機種を検討してみると良いでしょう。

  • ダイキン
  • 日立製作所
  • 長府製作所

井戸水を利用しているご家庭にエコキュートを導入する手順

それでは、井戸水を使用しているご家庭がエコキュートの導入を検討した場合の設置手順について簡単にご紹介しておきましょう。上下水道がかなり整備されている日本ですが、まだ6%程度のご家庭では井戸水が利用されていると言われます。こういったご家庭にエコキュートを導入する場合、通常とは少し異なる設置手順になるのです。

水質検査が必要

井戸水対応のエコキュートを設置する場合、最初に水質検査が必要になります。井戸水対応のエコキュートだとしても、全ての井戸水で使用可能な訳ではなく、含有される成分によっては導入できない場合もあるのです。したがって、井戸水を利用中のご家庭でエコキュートを設置する場合、『安全に使用できるか?』を判断するため、最初に井戸水の水質検査を行うのです。

ちなみに、水質検査の方法はメーカーによって異なります。また、基本的には水質検査にかかる費用は設置する方が負担することになるのですが、検査の結果、導入できない…となった場合には検査費が不要になるメーカーもありますので、検査の前に販売店かメーカーに確認しておきましょう。

以下で、一般的な井戸水対応型のエコキュート導入手順をご紹介しておきます。

井戸水対応型エコキュートの設置手順

  1. エコキュートの契約・設置の依頼と水質検査の依頼
    エコキュートの設置を依頼するときに水質調査の依頼を行います。
  2. 井戸水の水質検査を行う
    メーカーから採水キットが届きますので採水してメーカーに送ります。水質検査を行う場合、別途検査費用がかかる場合があります。
  3. 検査結果を受け取る
    水質検査の結果は販売店に届きます。検査の結果、設置可能な場合は工事が進みます。
  4. エコキュートの購入・設置
    業者にエコキュートの設置を行ってもらいます。設置工事自体は通常の施工と同じです。
  5. 井戸水対応の認定書を受け取る
    井戸水でエコキュートを利用する場合、必要な書類を揃えて井戸水を利用することの認定書を発行してもらう必要があります。販売店の指示のもと書類を提出すると認定書と認定ステッカーなどが届きます。エコキュートの規定位置にステッカーを貼って完了です。

井戸水をご利用中のご家庭でエコキュートを導入する場合、上記のような手順で設置が進みます。おおよその手順はどのエコキュートも同じなのですが、メーカーによって多少違う点があるので注意しましょう。

なお、井戸水でエコキュートを利用する場合には、「井戸水を使うことをメーカーに認定してもらう」必要があります。これは、メーカーによって認定の仕方が少し変わりますが、基本的にエコキュートの保証書のコピーを添付した「認定書の依頼書」を提出することで、メーカーが認定書を発行してくれます。認定書の発行時には、認定シールや認定ステッカーも一緒に発行されますので、既定の位置に貼りつけておきましょう。

まとめ

今回は、井戸水を生活用水として利用しているご家庭で、エコキュートを利用する方法についてご紹介してきました。

エコキュートは、ヒートポンプ技術を採用していることや、貯湯式の給湯器で安い電気代でまとめてお湯を沸かすことができるため、他の給湯器よりも大幅に給湯コストを削減できると、近年非常に高い人気を誇っています。しかし、多くの機種が販売されているエコキュートでも、そのほとんどは水道水を利用することが前提となっており、井戸水を利用しているご家庭では故障リスクが高く導入できない…と言われていたのです。

最近では、エコキュートの開発・販売に参入するメーカーが増えており、機種によっては井戸水でも利用できるエコキュートが登場しています。今まで「井戸水を生活用水として使用している」ということが原因でエコキュートを諦めていた方がいれば、これを機会にご自宅の井戸水の水質でエコキュートが利用できるか確認してみてはいかがでしょうか?