今回は、エコキュートを利用している方で、万一エコキュートが故障してしまった場合でも、できるだけお得に修理するためにはおさえておきたいポイントをご紹介します。

エコキュートは、エアコンにも利用されているヒートポンプ技術を採用した給湯器で、大気中の熱を効率よく利用することで、少ない電気でお湯を沸かすことができる省エネ設備として人気です。最近では、ガス給湯器や電気温水器の入れ替えタイミングでエコキュートに買い替えする方も増加していると言われているのですが、従来の給湯システムと同様にエコキュートも一度購入すれば一生使えるわけではなく、使っているうちに故障が発生し修理が必要になることも珍しくありません。

特に注意が必要なことは、エコキュートに使用されているヒートポンプなどは、故障原因によっては修理費用が非常に高額になってしまう場合もあり、修理の見積りを取った際に目が飛び出るような金額を提示されるようなことも珍しくないのです。

そこで、こういった住宅設備を長年利用していく場合に知識として持っておきたいのは、住宅設備の故障原因によってはその修理に「火災保険が適用できる」ということです。火災保険と聞けば、住宅火災によって受けた被害のみを補償してくれるもの…というイメージを持っている方も多いのですが、実は非常に幅広い保証範囲を持つ保険なのです。そこで今回は、エコキュートの修理と火災保険の関係についてご紹介します。

エコキュートの修理に火災保険ってどういうこと?

それでは、エコキュートの修理と火災保険の関係性についてご紹介していきましょう。冒頭でご紹介したように、火災保険というものは、万一の住宅火災に備えるための保険で、その保険が「なぜエコキュートの故障に適用できるのだ?」と疑問に思った人も多いのではないでしょうか。

しかし、この火災保険というものは、非常に幅広い保証範囲を持っており、例えば台風の強風によって出た住宅被害や、落雷で家電が故障してしまった、窃盗被害で窓ガラスが割られたなどの第三者被害なども補償してくれるものなのです。実際に、台風の大型化が進んでいる近年では、「台風で生じた屋根被害は火災保険で修理できる!」というのが屋根業界では有名になってきています。これと同じく、エコキュートも『故障の原因』によっては火災保険を適用することができるのです。

エコキュートの修理に火災保険が適用できる仕組み?

それでは、エコキュートが故障した場合、その修理に火災保険が適用できる仕組みをご紹介していきましょう。いくらエコキュートの故障だとは言え、何の条件もなく全ての修理に火災保険が適用できるわけではありません。

そもそもエコキュートのような住宅設備の修理に火災保険を適用できる理由は、エコキュートが火災保険の『建物』の契約で補償対象の範囲内に入るからです。エコキュートのような住宅設備は、建物に付属する電気設備として、基本的に「取り外しが難しくなるような形」でしっかりと設置されるのが一般的です。そのため、このような設置をなされる住宅設備に関しては、『建物』の扱いを受けるようになるため、火災保険の適用ができるようになるという仕組みです。なお、この取り扱いに関しては、保険会社によって微妙に扱いが変わってしまう場合がありますので、念のためご自身が加入している保険会社に確認しておくのがオススメです。

ここまでは、火災保険を利用するための仕組みの話でしたが、実際に火災保険を適用する場合には、いくつかの条件を満たさなければいけません。火災保険には、『風災』や『雪災』などの特約があるのですが、加入している火災保険にどのような特約が付帯されているかによって「火災保険が利用できるかどうか?」が決まるのです。例えば、台風の強風によって飛ばされてきた物がエコキュートにぶつかり、エコキュートが故障してしまった…という場合、火災保険に『風災補償』が付帯されているのであれば、その修理に火災保険を適用することが可能でしょう。こういった特約に関しては、最近の火災保険であればスタンダードな状態でも風災補償などが付帯されているのが普通です。しかし、住宅ローンを組むために加入する火災保険などには、こういった特約が付いていない場合もありますので、一度ご自身が加入している火災保険が、「どこまで補償してくれるのか?」ということは調べておくべきだと思います。

火災保険を適用できるエコキュートの故障原因は?

それでは、参考として、火災保険が適用できるようなエコキュートの故障事例もいくつかご紹介しておきましょう。

  • 住宅火災でエコキュートに損害が出た…
  • 落雷による過電流でエコキュートが故障した…
  • 台風の強風によってエコキュートが転倒して故障した…
  • 強風によって飛ばされてきたものがエコキュートにぶつかり故障した…
  • 屋根に積もった雪が落雪し、エコキュートにぶつかり故障した…
  • 洪水でエコキュートが水没し故障した…
  • エコキュート本体が盗難された…
  • 子供がエコキュートの周りで遊んでいて、ボールがぶつかり故障した… etc

エコキュートの故障原因が上記のように突発的な事象の場合には、その修理に火災保険を適用することが可能です。ただし、何度も言うようですが、何の特約も付帯されていない場合は適用できません。

火災保険が適用できない事例もある?

上述しているように、どのようなエコキュートの故障でも火災保険が適用できるわけではなく、以下のような場合には火災保険の適用ができません。

故障原因が『経年劣化』の場合は適用外

火災保険は『不測かつ突発的な事故』があった際に、住宅に出た被害を補償してくれるものです。「台風の強風で屋根が飛ばされた…」「飛来物で窓ガラスが割れた…」などがわかりやすい例です。

つまり、エコキュートの修理が必要な故障でも、その故障原因が『経年劣化』だと判断される場合には火災保険の適用ができないのです。エコキュートのような住宅設備は、毎日使っていることによってさまざまな部分が消耗してしまい、それが故障として表面化することもあるのです。このような故障の場合は、火災保険の適用はできないと覚えておきましょう。

地震による被害は適用できない

『不測かつ突発的な事故』であっても、地震が原因でエコキュートが故障してしまった場合には火災保険の適用はできません。これは、地震による被害が大規模になりやすいため、それを火災保険の適用内にしてしまうと、保険会社の支払い能力を超えてしまう恐れがあるからです。

地震による住宅被害にまで備えたい…と考えているのであれば、火災保険に付帯する形で地震保険にも加入するしかありません。ただし、地震保険に加入していたとしても、地震保険の損害判定方法により、保証を受けられない場合もあると覚えておきましょう。地震保険については、保険会社に問い合わせてみましょう。

水害の保証に注意!

近年では、夏場のゲリラ豪雨や台風の大型化によって、河川の氾濫や洪水が増加しています。こういった水害によってエコキュートが故障した場合には、『水害補償』による火災保険の適用が可能です。ただし、火災保険の水害補償には支払い基準が存在していますので注意しましょう。

  • 建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害を受けた場合
  • 「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」によって損害が生じた場合

このように、水害による故障に火災保険を適用したいと考えた場合には、保険会社が決めている支払い基準を満たしていなければいけません。

ちなみに、近年では水害が増加していることもあり、損害の程度に関わらず、特定の設備に関しては保証を行う特約を作っている保険会社も増えています。オール電化住宅など、多くの電気設備が導入されているお宅であれば、保険会社が作っているこういった設備的な特約も調べておくのがオススメです。

参考:東京海上日動「特定設備水災補償特約」

まとめ

今回は、何らかの理由でエコキュートが故障してしまった場合、できるだけ自己負担なく修理するために知っておきたい火災保険の知識についてご紹介しました。

火災保険は、その名称から火災にしか利用できないと考えている方も少なくありません。しかし実際には、非常に幅広い保証範囲が特長の保険であり、万一の際には非常にありがたい存在になってくれる可能性があるのです。ただし、この記事でもご紹介しているように、何の条件もなく全ての修理に火災保険が適用できるわけではなく、『故障原因』や『風災補償などの特約に入っているのか?』という点が大事になります。特に、火災保険にどのような特約が付帯されているのかを把握していない人も少なくありませんので、今のうちに「どこまで補償可能なのか?」を調べておきましょう。