今回は、電気を使ってお湯を沸かす給湯器である電気温水器とエコキュートの違いについてご紹介していきたいと思います。

近年、電気温水器を利用していた方が、エコキュートに入れ替えしたほうが給湯コストを下げられると、エコキュートへの買い替えを検討する方が増加しています。この二つの給湯器に関しては、同じ電気を利用してお湯を沸かすシステムになっているため、「なぜエコキュートにするだけで給湯コストが安くなるの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。それどころか、電気温水器とエコキュートは、呼び名の違いだけで同じ給湯システムなのだと考えている方までいると耳にすることもあります。

最初に言っておきますが、同じ電気エネルギーを利用する電気温水器とエコキュートですが、仕組みや給湯コストは全く異なり、完全に別物の給湯器だと覚えておきましょう。それでは、これら二つの給湯器の違いはどのよう点でエコキュートにするだけで給湯コストが削減できるのはなぜなのでしょうか?

この記事では、電気温水器とエコキュートの違いについて簡単にご紹介していきます。

電気温水器とエコキュートの違いってなんだ?

それでは、電気温水器とエコキュートに「どういった違いがあるのか?」について簡単にご紹介していきましょう。この二つの給湯器は「電気でお湯を沸かす」という根本部分は一緒なのですが、お湯の沸かし方が全く異なるのです。

まずはそれぞれの仕組みを簡単にご紹介しておきましょう。

電気温水器の仕組み

まずは電気温水器の仕組みからです。電気温水器も電気を利用してお湯を沸かすという部分はエコキュートと一緒なのですが、こちらは電気を使ってヒーターを温め、その熱でお湯を沸かすという給湯システムになります。電気温水器のメリットと言われるのは、電気ヒーターの熱でお湯を沸かすため、ガス給湯器のように不完全燃焼や火災のリスクが少ないということです。

仕組みをもう少しわかりやすくすると、大きな電気ポットのようなものと考えていただければ良いと思います。電気温水器は、高い安全性がある一方で、電気の力のみでヒーターを温めお湯を沸かすという特性上、電気をたくさん使ってしまい、電気代が高くなってしまうと言われます。

エコキュートの仕組み

次はエコキュートの仕組みです。エコキュートも電気を利用してお湯を沸かす給湯器なのですが、最大の特徴はエアコンなどにも利用されている『ヒートポンプ技術』を採用していることです。ヒートポンプ技術は、大気中の熱を効率よく利用することができるようになるため、電気温水器よりも大幅に電気代が安くなるのです。

もう少し詳しく仕組みの紹介をすると、エコキュートはヒートポンプによって、空気が持っている熱を二酸化炭素などの自然冷媒に取り込ませてから圧縮します。そして、圧縮されることによって熱が凝縮し空気が高温になるのですが、その熱を熱交換器で水に移し替えるのです。エコキュートは、このヒートポンプと熱交換器の働きによってお湯を効率よく作る仕組みになっています。

したがって、エコキュートは夏場など外気温が高い季節になると、より効率よく利用できる給湯器と言えます。

電気温水器とエコキュートの違い

ここまでの説明で、電気温水器とエコキュートの仕組みが全く異なるというのがわかっていただけましたね。

どちらの給湯器も電気を利用してお湯を作る点は一緒なのですが、電気温水器は『電気の力だけ』でお湯を沸かす仕組みになっている一方、エコキュートは空気中にある熱も効率よく利用することができるのです。エコキュートが電気温水器よりも給湯コストが安くなるのは、この「空気中の熱を利用できる」という仕組みがあるからです。

さらにエコキュートは、火を使わずにお湯を作る給湯器となっていますので、従来の給湯システムと比較しても二酸化炭素の排出量が少なくなります。つまり、家庭で使用する給湯システムにエコキュートを導入するだけで、電気代が安くなるだけでなく、環境負荷の低減にも貢献することができるのです。

電気温水器からエコキュートを選択するメリット・デメリットは?

それでは、電気温水器を利用している方が、家庭で使用する給湯器としてエコキュートを選択する場合のメリットとデメリットとはどのようなことが考えられるのでしょうか?

ここでは、家庭の給湯器としてエコキュートを選択する場合のメリットとデメリットをいくつかご紹介していきます。

エコキュートを選ぶメリット

電気温水器からエコキュートに入れ替えする場合の最も大きなメリットは、給湯にかかるコストを大幅に削減することができることです。一般的にですが、電気温水器を利用しているご家庭の1カ月の電気代は6,000~7,500円程度と言われています。しかし、エコキュートを給湯器として導入しているご家庭では、1,500~2,000円の電気代で給湯コストを賄えると言われていますので、なんと月々のコストが1/3以下にまで削減できるのです。

他にも、二酸化炭素の排出量が少なく環境負荷低減に貢献できることやHEMSに対応している、貯湯タンクのお湯が自然災害時に非常用水として利用できるなど、さまざまなメリットが存在していると言われています。

最近では、太陽光発電を導入しているご家庭で、卒FITを迎えた後に、余剰電力を上手に利用できるようになるため、家計にかかる電気代をより削減できるようになるなど、他の住宅設備と上手に連携できる点もメリットとして捉えられるようになっています。

エコキュートを選ぶデメリット

上記のように、さまざまなメリットが存在する一方で、電気温水器からエコキュートに入れ替えを検討した場合、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか?

一般的にエコキュートを選んだ場合のデメリットとして挙げられるのは、エコキュートの方が導入にかかる費用が高額になってしまう…という点です。しかし、この部分に関しては、そこまで気にしないで良いと筆者は考えています。以下に、同じ容量の電気温水器とエコキュートの一般的な導入費用相場をご紹介しておきます。

  • 370Lタイプの電気温水器 ⇒ 約250,000円~
  • 370Lタイプのエコキュート ⇒ 約270,000円~
  • 460Lタイプの電気温水器 ⇒ 約255,000円~
  • 460Lタイプのエコキュート ⇒ 約280,000円~

※現場の状況によって詳細な金額は変わります。

上記の通り、確かに電気温水器と比較すると、エコキュートの方が高額になるのですが、その差額はほんの数万程度となります。つまり、ランニングコストの安さで、すぐに取り返せる程度の差しかなく、10年以上も利用する給湯器と考えた場合、総額のコストは圧倒的にエコキュートの方が安くなるのです。

設置工事に関しても、ガス給湯器からの入れ替えであれば、設置スペースが問題になる場合もありますが、電気温水器からの入れ替えであれば、電気温水器の既存基礎がそのまま利用できることがほとんどで、大きな問題になることも少ないです。 ただし、エコキュートはヒートポンプの稼働による低周波音が発生するので、騒音トラブルの可能性があるという点はデメリットと言えるかもですね。

まとめ

今回は、電気エネルギーでお湯を沸かす給湯器、電気温水器とエコキュートの違いについてご紹介しました。

現在、電気温水器を利用している方であれば、「エコキュートに入れ替えた方が電気代が安くなる…」という情報をよく耳にするようになっていると思いますが、「給湯器を入れ替えするだけで本当に電気代が安くなるの?」と疑問に思っている人も多いかもしれませんね。しかし、両者の仕組みをきちんと調べてみれば、『電気のみ』でお湯を沸かす給湯器と『大気中の熱も利用する』という違いがありますので、エコキュートの方が大幅に給湯コストは安くなるのです。

電気温水器からエコキュートの入れ替えであれば、既存基礎を再利用できますし、稼働するためのエネルギー源が同じですのでスムーズに入れ替えが可能です。導入にかかるコスト自体は、多少エコキュートの方が高くなってしまいますが、ランニングコストの安さですぐに取り返せると思いますし、タイミングを見計らってエコキュートに入れ替えするのをオススメします。

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