今回は、誰もが気になるエコキュートの一般的な寿命や長く利用するためのポイントをご紹介します。

エコキュートに関わらず、どのような住宅設備を利用する場合でも、製品ごとにある程度の耐用年数というものが存在しており、一度購入すれば一生その製品を利用できるという訳ではないのです。こういった製品が使えなくなるまでの期間を耐用年数や寿命などと言うのですが、何らかの住宅設備を導入する場合、その製品の寿命はあらかじめおさえておいた方が良いです。

ただし、エコキュートなどに言われる耐用年数に関しては、使用状況などが家庭によって異なるため、平均的に壊れる期間の目安程度に考えておきましょう。実際にエコキュートなどを使用してみると、耐用年数よりも早く故障してしまう場合もありますし、逆に耐用年数を超えても問題なく使用できる場合があるのです。

しかし、生活に必要不可欠な給湯を支えるエコキュートですから、突然故障して使えなくなった…なんて事態は誰もが避けておきたいものでしょう。そこで今回は、エコキュート自体の耐用年数や、エコキュートに使用されている部品の交換目安などをご紹介します。

エコキュートの寿命は?

それではまず、一般的なエコキュートの寿命からご紹介しておきましょう。ただし、近年人気のエコキュートは、2007年に販売開始されたものですので、まだまだ寿命に関する正確なデータが十分に集まっているとは言えません。

一般的にですが、電気温水器の平均耐用年数やメーカーの取扱説明書に記載されている部品の交換目安から判断して、エコキュートの耐用年数は10~15年といわれています。

しかし、エコキュートは単一の製品ではなく、貯湯タンクとヒートポンプユニットの2つから構成されていますので、寿命は少し複雑です。前述した10~15年という耐用年数に関して考えれば、貯湯タンクはその程度の期間は持つと言えるのですが、ヒートポンプユニットはそこまで持たないと言われます。一般的に、貯湯タンクよりもヒートポンプユニットの方が壊れやすく、使い始めて5年程度経てば何らかの故障が発生してもおかしくないと言われており、エコキュート全体の寿命である10~15年程度使っていれば故障してしまう確率が高いです。

このように、一口にエコキュートといっても、部品によって壊れやすさが異なるため、部品の交換目安に合わせて小まめにメンテナンスしてあげる必要があるのです。そうすれば、本来の寿命15年を超えても普通に利用できる可能性があるのです。 以下で部品ごとの寿命に関してもご紹介しましょう。

貯湯タンクの寿命について

貯湯タンクは、エコキュートの部品の中でも比較的長持ちします。しかし、取扱説明書などに記載されている部品の交換目安の時期にきちんとメンテナンスをしてあげなければ、当然その寿命は短くなってしまうのです。

エコキュートは業務用と家庭用で寿命が多少異なるのといわれるので注意しておきましょう。エコキュートの貯湯タンクは、逃し弁、給湯ポンプ、流量調整弁、給湯熱交換器で構成されています。それぞれの部品については、以下のような目的があります。

  • 減圧弁は水の圧力を下げるための部品
  • 逃し弁は最大になった圧力を逃すための部品
  • 給湯ポンプはエコキュートで作られたお湯を蛇口や浴槽まで運ぶためのポンプ
  • 流量調整弁は浴槽にお湯をはっている時にお湯の量を調整するための部品
  • 湯熱交換器は冷媒の熱でお湯を暖める部品

これらの部品に関しては、定期的な交換が必要になるのですが、きちんとメンテナンスした場合、10~15年程度の寿命があると言われています。

ヒートポンプユニットの寿命について

ヒートポンプユニットは非常に多くの部品で構成されています。当然、それぞれの部品によって寿命が異なりますので、以下で構成部品ごとの注意点をご紹介しておきます。

冷却回路の部品について

冷却回路は圧縮機と電動膨張弁で構成されています。圧縮機により冷媒の温度をコントロールし、電動膨張弁によって冷媒を減圧させて低温低圧にするのです。一般的に、圧縮機の寿命が10年前後で、電動膨張弁が15年程度の寿命と言われています。

水回路の部品について

循環ポンプ、凍結防止切替弁、流量センサーなどで構成されるのが水回路です。それぞれの寿命については、循環ポンプが7年前後、凍結防止切替弁と流量センサーは7年半が目安と言われています。

送風機について

送風機は熱を外に逃がすためのもので、ファンモーターが使われています。この部分の寿命は7年前後が目安となります。

電気回路について

エコキュートは、電気の通り道となる電気回路が非常に重要です。電気回路は、インバーターとパワーモジュールで構成されており、それぞれの寿命は12年と7年半が目安となり、大きく寿命が異なるので注意が必要です。

エコキュートを長持ちさせるための注意点

ここまでは、エコキュートの耐用年数や部品ごとの交換目安についてご紹介しました。エコキュートは、そもそも耐用年数をおさえておき、部品の交換目安にしたがって小まめにメンテナンスしてあげることで、製品の持つ寿命最大限まで使用することができます。

しかし、普段の使用方法によっては、エコキュートの寿命を縮めてしまう危険がありますので、以下の点は注意しておきましょう。

  • 使用禁止の入浴剤を使う
    エコキュートは、いくつかのタイプの入浴剤と相性が悪いです。基本的に使用可能な入浴剤の種類が取扱説明書に記載されていますので、それを守るようにしましょう。なお、エコキュートと入浴剤の関係については「エコキュートは入浴剤に注意!入浴剤を使いたい人が知っておきたいポイント!」でもご紹介していますので、こちらも参考にしてください。
  • 水質によってはエコキュートの寿命を縮める
    エコキュートは、地下水、井戸水、温泉水などと相性が悪く、水質を原因に故障してしまう場合があります。製品の中には、井戸水などに適応している機種がありますので、通常の水道水以外を利用しているお宅では、そういったタイプを導入しましょう。
  • 寒冷地や塩害地域は注意
    塩害地域では、錆の発生によりエコキュートの故障を招きます。また、寒冷地域では、部品の凍結などにより故障を招いてしまうなどの理由で、エコキュート全体の寿命を縮めてしまう原因となります。最近では、寒冷地仕様や塩害地域仕様のエコキュートが登場していますので、そういった物を導入しましょう。
  • メンテナンスを怠る
    どういった製品でも、普段のお手入れや清掃、部品交換などのお手入れを怠ってしまうと本来の耐用年数までに故障してしまう可能性が高くなります。取扱説明書に記載されているエコキュートのメンテナンスは怠らないようにしましょう。

まとめ

今回は、一般的なエコキュートの寿命や、部品ごとの交換目安などをご紹介しました。この記事でもご紹介したように、エコキュートの寿命は10~15年といわれているのですが、細かな部品に注目してみると、そこまでの寿命が無い部品も少なくないのです。

当然、一部の部品が故障してしまった場合、エコキュートが持つ機能が使えなくなってしまいますし、最悪の場合、小さな部品の故障が他の部品の故障を誘発してしまい、大掛かりな修理が必要になる…なんてことも考えられるのです。

特にエコキュートの耐用年数が10~15年と聞くと、「10年間はほっておいても大丈夫!」などと勘違いしてしまう人もいるようです。しかし、こういった耐用年数に関しては、普段のお手入れや部品交換などを欠かさずに行っている方に言えるものであり、何のメンテナンスもしなければ、導入後数年で故障してしまう…なんてことも珍しくないのです。 エコキュートに必要になるメンテナンスは、購入時についてくる取扱説明書に記載されていますので、エコキュートを導入したときには、きちんと取扱説明書を確認し、メンテナンス計画を立てておくのがオススメですよ。面倒に思えるかもしれませんが、そういった細かな対応が、設備の寿命をのばしメンテナンスコストを抑えることにもつながるはずです!