今回は、エコキュートの導入を考えている方や、既に家庭の給湯器としてエコキュートを使用している方向けに、普段の生活の中でできるだけ給湯コストを削減するために知っておきたい、エコキュートの節約術についてご紹介したいと思います。

エコキュートは、電気を利用してお湯を沸かす給湯システムで、エアコンなどにも利用されているヒートポンプ技術を使ってお湯を作ります。ヒートポンプ技術は、大気中にある熱で効率よくお湯沸かすことができるため、他の給湯システムと比較しても、光熱費削減効果が高いと言われているのです。しかし、普段の生活の中で何も考えずにエコキュートを利用している場合、エコキュートの運用にかかる電気代が、もしかすると年間5,000円近くも損している可能性があるのです。 エコキュートは、設定方法や普段の心がけによってより高い光熱費削減効果を得られる給湯器です。ここでは、今日からでもできるエコキュートの節約術をいくつかご紹介したいと思います。

エコキュートの節約術いろいろ

れでは、家庭の給湯システムとしてエコキュートを利用する場合に知っておきたい節約術をいくつかご紹介していきましょう。

そもそもエコキュートを使用する上でのランニングコストは、他の給湯システムと比較してもかなり安くなると言われています。実際に、エコキュートの人気メーカー『パナソニック』が公表している他製品とのランニングコスト比較では、電気温水器やガス給湯器、石油給湯器などの運用にかかるランニングコストと比較して、エコキュートは1/3~1/5程度のランニングコストですむと言われているのです。

したがって、何も考えずに運用したとしても、それなりの給湯コスト削減効果は得られるのですが、よりお得に使用したいと考えれば以下のことに注意しましょう。

参考:パナソニック「地域ごとのランニングコスト比較

タンクの設定温度に注意する

エコキュートのランニングコストを節約しようと思った時に重要なのが、貯湯タンク内のお湯の沸き上げ温度設定です。

エコキュートから供給されるお湯というのは、貯湯タンク内の熱湯に水を混ぜて、設定された適温に調整したうえで給湯されるのです。つまり、夏場など、水道水自体の温度が上昇している場合には、設定温度まで熱湯の温度を下げるためにたくさんの水道水が必要になってしまうのです。逆に、貯湯タンクのお湯はあまり消費されずに余ってしまいますので、このような運用をしてしまうと、余計な電気代も水道代もかかってしまうことになります。

このような無駄を防ぐためには、貯湯タンク内の沸き上げ温度を低めに設定しておくことや、必要以上のお湯を作らないよう、生活に必要なお湯の量を見極めて沸き上げすることです。このような運用方法はエコキュートの電気代節約につながります。

エコキュートの設定温度などを賢く運用するためにはエコキュートに付属されている機能を使いましょう。例えば、三菱電機のエコキュートには『おまかせ』モードという運転モードがあり、これは過去2週間の使用湯量を自動学習し、無駄のない最適な湯量を自分で判断し沸き上げてくれる機能となります。メーカーによって運転モードの名称が異なりますが、最近のエコキュートにはこういった便利機能がありますので、上手に利用しましょう。

給湯温度は『50℃』が最も省エネ!

エコキュートは、給湯温度を「50℃」に設定しておくことが最も省エネ効率を高めると言われています。

「ちょっと温度が高くない…?」と感じてしまうかもしれませんが、実はエコキュートから送られてくるお湯は、給湯配管を通ってくる間に3℃ほどお湯の温度が低下すると言われているのです。つまり、設定温度が50℃でも実際に蛇口から出てくるお湯は47℃ぐらいになっているのです。

もちろん47℃のお湯でもそのままお風呂に入れるような温度ではありません。しかし、エコキュートの給湯温度を「50℃」に設定しておき、蛇口を混合水栓にすれば、蛇口で適温に調節してお湯を使うことができるのです。この方法であれば、お湯をぬるいと感じることもありませんし、シャワーの水圧も高くすることが可能ですので、シャワー時間も短縮できるなど、さまざまな面での節約が可能なのです。

例えば、給湯温度を40℃に設定してしまった場合には、蛇口から出てくるお湯は37℃程度になりますので、ぬるく感じる上に大量のお湯を使ってしまい効率的ではないのです。ちなみに、夏場と冬場では蛇口から出てくるお湯の温度が変わってしまいますので、その辺りも考えて季節ごとに最適な温度に変更するのがオススメです。

沸き上げ時間は深夜に限定する!

エコキュートの電気代削減効果は、電力会社の電気料金プランを賢く利用することで得られるものです。最近の電気料金プランには、深夜帯の電気代が格安になっているようなものが多く登場しており、この安い電力を使ってお湯を作ることができるので、エコキュートは他の給湯器よりも給湯コストを削減できるのです。

基本的に、エコキュートは電気代が安い深夜時間帯に沸き上げする設定になっています。しかし注意が必要なのは、『湯切れ防止』機能など便利機能がついていることで、これは日中にお湯を使いすぎてしまい足りなくなった場合には、電気代など関係なしに沸き増しする機能です。つまり、この機能をONにしていると、知らないうちに高い電気代の時間帯にお湯を作ってしまうのです。したがって、エコキュートを、より安く利用したいと考えるのであれば、この機能をOFFにして、電気代が安い深夜時間帯以外にはお湯を沸かさないようにすべきなのです。

ちなみ、エコキュートの初期設定では「夜23時~朝7時」を深夜時間としてお湯を沸かす時間に設定されています。これが電力会社の深夜時間とズレているのであれば、損してしまう可能性があるので、念のため契約している電気料金プランを確認しておきましょう。

太陽光発電を導入しているご家庭で、固定価格買取制度(FIT)が期間満了で終了してしまっているのであれば、昼間の余剰電力を利用してエコキュートのお湯を沸かすのが最もお得です。卒FITとなると、買電価格よりもかなり安い売電価格にまで下落しますので、深夜帯の電気でお湯を作るのではなく、売電に回していた電気でお湯を沸かす方がお得なのです。最新モデルのエコキュートであれば、太陽光発電と上手に連携できるものがありますので、卒FITを機会に電力の自家消費を目指すのもオススメです。

まとめ

今回は、エコキュートの導入を検討中の方や、既にエコキュートを利用している方のために、よりお得にエコキュートを利用するための節約術をご紹介してきました。

エコキュートに関しては、もともと非常に光熱費削減効果が高い給湯器として有名になっており、家庭の給湯システムとして選ばれることが増加している給湯器です。したがって、他の給湯器からエコキュートに切り替えるだけでも、給湯コストを大幅に削減することができるご家庭が多いのも事実でしょう。しかし、より電気代を安く利用したいと考えるのであれば、ご家庭に合ったエコキュートの使い方をきちんと考えなければならないのです。

特に、エコキュートの導入時には、導入コストのことだけを考えて、タンク容量を小さめなものを選んでしまうご家庭も少なくありません。しかし、家族構成やライフスタイルに合わないタンク容量のエコキュートを導入してしまうと、日中に頻繁な沸き増しが必要になり、エコキュートが本来持つ給湯コスト削減効果を実感できない…なんてことになりかねないのです。

エコキュートの電気代削減効果を最大限まで発揮させたいと考えるのであれば、この記事でご紹介した内容を頭に入れておき、ご家庭ごとに最適な使い方を見つけ出すよう努力しましょう。