今回は、エコキュートの導入を考えた際、不安に思う方が多いと言われるエコキュートの水圧問題についてご紹介したいと思います。

エコキュートは、電気でお湯を沸かす給湯システムで、他の給湯器と比較すると日々の給湯コストを削減することができることがメリットと捉えられ、年々導入する方が増加しています。このエコキュートは、貯湯式の給湯器となるため、一日に使用するお湯をまとめて沸かして貯湯タンクに貯めておき、必要な時にはタンクにあるお湯を給湯するというシステムになっているのが特徴です。そのため、水道直圧方式と言われるガス給湯器などと比較すると、シャワーの水圧が弱くなってしまい、お風呂での使い勝手が悪くなるのでは…などと心配する方が多いのです。

したがって、給湯コストの安さはメリットだけれど、水圧に問題があるのであれば導入に二の足を踏んでしまう…という方も多いかもしれません。そこで今回は、昔から言われているように、本当にエコキュートの水圧に問題があるのか、もし問題があるのであれば、対策はあるのか?ということについてご紹介したいと思います。

「エコキュートはシャワーの水圧が弱い…」は本当?

それではまず、「エコキュートはシャワーの水圧が弱い…」という情報が正しいのか?ということに関して簡単にご紹介しておきましょう。

答えから言ってしまいますが、水道直圧方式のガス給湯器と比較した場合、エコキュートを導入したご家庭ではシャワーの水圧が落ちてしまうのは間違いないでしょう。実際に、ガス給湯器から、エコキュートに入れ替えして、物足りなく感じてしまった…という方も多いかもしれませんね。

それでは、エコキュートの水圧が弱いのはなぜなのでしょうか?

エコキュートの水圧が弱い理由

エコキュートは、必要な時に必要な分のお湯を沸かすといった瞬間式の給湯器ではなく、あらかじめ貯湯タンクにお湯を貯め置きしておくという貯湯式と呼ばれる方式をとっています。つまり、エコキュートを導入した場合、水道水と同じように蛇口からお湯が出るように見えるのですが、貯湯タンクを経由しているのです。そしてこの貯湯タンクは、耐圧には限界があり、いったん水道水の水圧を減圧弁で減圧して貯め置きしています。

どのぐらいの水圧の違いがあるかというと、一般的な水道水で500KPa程度の水圧があるのですが、標準タイプのエコキュートであれば約1/3となる180KPa程度まで減圧されてしまうのです。

したがって、ガス給湯器などであれば、水道の水圧そのままのシャワーを実現できるのですが、エコキュートは減圧された分だけシャワーの水圧が落ちてしまうのです。

エコキュートの水圧の弱さは致命的か?

ここまでの説明で分かるように、エコキュートはその仕様上の問題でガス給湯器と比較すれば、どうしてもシャワーの水圧が弱くなってしまいます。

それでは、このシャワーの水圧問題はエコキュートの導入時における致命的なネックと考えた方が良いのでしょうか?とても気になる人が多いのではないでしょうか?

この部分に関しては、正直人それぞれ使用感が異なりますので、断言しづらい問題ではあります。しかし、実際にガス給湯器から標準タイプのエコキュートに入れ替えを行った方に質問してみると、ほとんどの方は「シャワーの勢いが弱くなるのは確かだが、そこまで気にするほどのことではない」と答えています。中には、ガス給湯器の方が水圧が強すぎて今ぐらいの方がちょうど良くなったと答える方もいるぐらいです。

筆者個人としても、そこまで気にするような問題ではないのではないかと思います。

エコキュートのシャワーの水圧を強くするには?

それでは、エコキュートの導入を検討している方で、シャワーの水圧は強くしておきたい…と考えている方が、頭に入れておきたい対策についてもご紹介しておきましょう。

対策① 高圧給湯タイプのエコキュートを導入する

この対策は、エコキュート導入時に行う機種選びです。エコキュートには、標準タイプの他に、シャワーの水圧などを高く保てるような高圧給湯タイプも存在しています。

これは、エコキュートの販売開始直後に、「シャワーの水圧が弱い…」という声が多くあったため、メーカー側が対策として開発を進めたものです。なお、高圧給湯タイプは、2階にお風呂がある場合にも選択されることが多いです。

現在では、多くのメーカーが高圧給湯タイプを販売していますので、シャワーの水圧が気になる…という方はコチラを選択するのがオススメです、ただし、高圧給湯タイプは、標準タイプのエコキュートよりも本体価格が割高になってしまいますので、その辺りは覚悟しておきましょう。ちなみに、日立は水道直圧給湯のエコキュートを販売しています。

対策② エコキュートの設定温度を上げる

次は、既にエコキュートを導入している方で、「シャワーの水圧を上げたい…」と考えている方にオススメの対策です。

やり方は非常に簡単で、エコキュートの設定温度を上げるだけです。通常、エコキュートは40~43℃程度に設定しておき、エコキュートからの給湯のみでシャワーを使うという利用方法が普通です。しかし、この使い方の場合、どうしても減圧された状態ですのでシャワーの勢いは落ちてしまうのです。したがって、水圧を上げたい場合には、エコキュートの設定温度を上げておき、混合カランの水道水で温度を調節してシャワーを使うと良いでしょう。この場合、水道水の水圧も加わりますのでシャワーの勢いが上がるのです。

注意が必要なのは、お湯のみを出す場合は、高温になってしまうので小さなお子様がいるご家庭では少し危険なのと、電気代が高くなってしまうことです。

対策③ シャワーヘッドを交換する

最後は、シャワーヘッドを低圧用シャワーヘッドに交換するという手法です。低圧用シャワーヘッドは、お湯が出る穴を少なくしたり、小さくすることによって、通常のシャワーヘッドよりも水圧を上げることが可能です。ネット通販などでも手に入りますので、非常に手軽な手法と言えます。

ただし、低圧用シャワーヘッドに変更した場合、水があまり拡散しなくなるため、使い勝手は悪くなってしまいます。

まとめ

今回は、エコキュートを導入しようと思って方が気になる、「エコキュートにするとシャワーの水圧が弱くなる」という情報の真相についてご紹介しました。

この記事でご紹介したように、水道直圧方式と言われるガス給湯器からエコキュートに入れ替えした場合には、シャワーの水圧が弱くなってしまう…という情報は間違いないと考えて良いです。これは、エコキュートの給湯は一度貯湯タンクを経由するという貯湯式という方式を取っているためで、数値的には1/3程度の水圧まで弱くなってしまうのです。こう聞くと、エコキュートにすると毎日のお風呂が不便になりそうだな…と考えてしまう人もいるかもしれませんが、「エコキュートは水圧が弱くて使えない…」というほど水圧が弱いわけではなく、あくまでも水道直圧方式の給湯器に比較すれば弱くなるというだけです。したがって、最近販売されている新しいモデルのエコキュートを導入したのであれば、シャワーの水圧が弱すぎて使い勝手が悪い…なんてことになることはあまりないと思います。

ただし、水圧が強いシャワーがお好みの方であれば、少し不満に感じてしまう可能性もありますので、上述した対策を試してみると良いでしょう。