今回は、現在石油給湯器を利用している方がエコキュートへの入れ替えを検討した場合、エコキュートを導入することによって得られるメリットについてご紹介したいと思います。

エコキュートは、電気でお湯を沸かす給湯システムで、他の給湯器と比較すると、大幅に給湯コストを削減できるという情報が出回っていることもあり、人気となっています。実際に、弊社にお問い合わせいただくお客様の中にも、「石油給湯器からエコキュートにすると、給湯コストが安くなると聞いたのですが…」とおっしゃる方は非常に多いです。

しかし、今まで石油給湯器を利用していた方がエコキュートに入れ替えする場合、給湯器としての仕組みが大きく異なることから、いくつか押さえておかなければいけないポイントが存在しています。そこで今回は、石油給湯器をエコキュートに入れ替えするときのメリットやデメリットなどをご紹介したいと思います。

石油給湯器からエコキュートに入れ替えするメリット

それでは、石油給湯器を利用している方が、エコキュートに入れ替えすることで得られるメリットからご紹介していきましょう。

もともと新築住宅を建てる時に導入されることが多かったエコキュートですが、近年ではガス給湯器や石油給湯器など、他の給湯器から入れ替えする方も増加しています。それでは、わざわざ使い慣れた給湯器からエコキュートにするメリットは何なのでしょうか?

日々の給湯コストが削減できる

石油給湯器からエコキュートに入れ替えする場合、最大のメリットと捉えられているのが「日々の給湯コストを削減できる!」というポイントです。

一般的な石油給湯器であれば、月々のランニングコストが5,000円程度(エコフィールなら4,000円程度)かかるのに対し、エコキュートに入れ替えした場合、2,000円程度まで削減することが可能なのです。エコキュートは、電気でお湯を作る給湯器と言われていますが、ヒートポンプ技術を採用していることから、大気中の熱を効率よく利用することも可能なのです。したがって、電気のみでお湯を作る電気温水器と比較しても、約1/3程度の給湯コストになるなど、ランニングコスト面では非常に大きなメリットがあるのです。

日々の手間がかからない

石油給湯器を利用する場合、定期的にタンクに灯油を補充する必要があります。やったことがある人であれば良く分かるのですが、ポリタンクから給油する作業はかなり重労働になりますし、定期的にガソリンスタンドに行って灯油を購入しに行くのも面倒なのです。エコキュートに入れ替えすれば、こういった作業が必要なくなりますので、日々の手間が少なくなるというメリットがあります。

火災リスクが低くなる

石油給湯器は、灯油を使用しているためどうしても火災リスクが存在します。もちろん、万全な状態であればそこまで心配する必要もないのですが、10年近く利用して経年劣化が進んだ石油給湯器やガス給湯器は火災リスクが高くなってしまう…と言われているのです。

エコキュートは、こういった火災のリスクがほとんどないのがメリットと言えるでしょう。なお、石油給湯器は給湯の際に煙やにおいが出るのですが、エコキュートはそれらも排出しないこともメリットと言えるでしょう。

停電でもある程度お湯が使える

エコキュートは、停電が発生したとしても、タンクに貯め置きしているお湯を非常用水として取り出すことが可能です。この点は、石油給湯器やガス給湯器にはないメリットと言われます。

こう聞くと、石油でお湯を沸かす石油給湯器には停電は関係ないのでは?と考えてしまう人が多いかもしれません。しかし、ガス給湯器や石油給湯器は稼働の為に100V電源を利用していますので、停電してしまうとお湯を作ることはできないのです。さらに瞬間式の給湯器となるので、エコキュートのような非常用水を貯め置きするなどと言ったこともできません。

エコキュートに入れ替えするデメリット

石油給湯器からエコキュートに入れ替えする場合、上記のようなメリットが存在しています。しかしその一方で、いくつかのデメリットも指摘されていますので、導入時にはデメリットも考慮しておきましょう。

イニシャルコストの問題

エコキュートは、年々人気が高くなっていることから、本体価格も下がってきています。しかし、それでも石油給湯器と比較した場合、エコキュートの導入コストの方が高くなってしまうのです。

したがって、上述したランニングコスト削減効果などのメリットを総合的に考慮して判断すべきでしょう。設置場所の条件によっては、施工費用も高くなってしまう場合があります。

設置スペースが必要になる

エコキュートは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクを設置しなければいけません。したがって、石油給湯器などと比較すると、かなり広い設置スペースが必要になるのです。

他の給湯器からエコキュートへの入れ替えを検討した場合には、まず、エコキュートの設置スペースを確保できるのか?ということを確認しなければいけないでしょう。最近では、薄型で狭いスペースでも設置できるエコキュートが登場しているものの、条件によってはエコキュートの導入を断念しなければいけないこともあるでしょう。

使い勝手が大きく変わる

石油給湯器とエコキュートは、根本的な給湯器としての仕様が異なるため、日々の給湯の使い勝手がかなり変わる…ということを理解しておかなければいけません。

例えば、石油給湯器は、お湯が必要な時に必要な分作る『瞬間式』の給湯器となるため、給湯器が故障していない限り、蛇口をひねればいくらでもお湯が出ます。しかしエコキュートは、一日に使用する分のお湯を予め作り、貯湯タンクに貯め置きしておくという『貯湯式』の給湯システムとなるのです。つまり、お湯が必要な時は、タンクに貯めている中から給湯を行うこととなるのですが、使いすぎてしまうとタンクの湯切れを起こしてしまい、お湯が出なくなってしまうのです。もちろん、沸き増しすれば再度お湯を使うことができるのですが、頻繁に沸き増しするような使い方をすると、エコキュートの給湯コスト削減効果が薄くなってしまうのです。

石油給湯器からエコキュートにする場合、給湯器の使い勝手の違いを事前に理解しておかなければ、導入後に「思ったようなコスト削減効果が得られない…」なんて事態を招いてしまう可能性があります。

まとめ

今回は、現在石油給湯器を利用している方でエコキュートへの入れ替えを検討している方に向けて、エコキュートへの入れ替えで得られるメリットやデメリットをご紹介してきました。

最近では、インターネットで給湯器に調べてみると、エコキュートは給湯コストが非常に安い…などと言った情報が出回っているため、他の給湯器からエコキュートへの入れ替えを検討する方が非常に多くなっていると言われています。エコキュートは、貯湯式の給湯システムとなるため、深夜帯の電力が安くなる料金プランを選ぶことや大気中の熱まで有効活用できることで、給湯コストが安くなる給湯器であることは間違いありません。しかし、全ての家庭がエコキュートを導入すれば光熱費が安くなるかというとそうでもありません。例えば、深夜の電気代が安くなる料金プランは、日中の電気料金が割高になりますので、日中も家に人がいて多くの電気を利用する…という家庭であれば、家計にかかる光熱費が余計に高くなってしまう…なんて可能性もあるのです。したがって、他の給湯器からエコキュートへの入れ替えを考えている方は、普段の生活スタイルなども良く考慮して、慎重に検討すべきです。