今回は太陽光発電の導入は考えているけど、そもそも太陽光発電について何も知らない…!!という方の為に太陽光発電についての発電量にまつわる基礎知識をお伝えいたします。
基礎知識を抑えておけば、太陽光発電の見積や打ち合わせ、商品選択の際にも十分役立つ情報になるかと思います。
是非知識を深めて太陽光発電システム選びに失敗しないようにしましょう。

太陽光発電の発電量を決める要素

変換効率

まずは太陽光発電システムにおいてよく耳にする「変換効率」です。
「変換効率」とは太陽光エネルギーをどのくらい電気エネルギーに変換できるかという瞬間的な変換率を表した数値になります。
なので変換効率が高い分だけ、太陽光を無駄無く電気エネルギーに変換しているということになります。

算出の仕方は
変換効率=(出力電気エネルギー(W))÷(太陽光エネルギー(W))× 100
となります。
細かく見ていくと変換効率には「モジュール変換効率」と「セル変換効率」という指標があります。(※太陽光パネルは太陽光モジュールと呼ばれています。)

モジュール変換効率とセル変換効率

変換効率の中には「モジュール変換効率」と「セル変換効率」に分けられます。
「モジュール変換効率」は太陽光パネルの1m2あたりの変換効率を表した指標です。
算出式としては
モジュール変換効率=(モジュール公称最大出力(W)×100)÷(モジュール面積(m2)×1000(W/m2))となります。

モジュール1枚は小さなセル電池の集合体でできています。
「セル変換効率」とはそのセル一つあたりの変換効率のことを指しています。
セルはひとつひとつを導線で繋ぎ1枚のモジュールになっているので、繋いだ時にロスが生じる為、セル変換効率=モジュール変換効率とはならず、
モジュール変換効率はセル変換効率より低くなってしまいます。

パネルの種類

パネルにも各メーカーで使用している種類に違いがあります。
住宅用に使用されているパネルは大きく分けて、「シリコン系パネル」「化合物(CIS)系パネル」に分けられます。
住宅で最も多く使用されているのは「シリコン系パネル」で、発電効率に優れているとされています。
「シリコン系パネル」の中でも
「単結晶シリコン」
「多結晶シリコン」
「薄膜シリコン」の3つにわかれます。

主な特徴は「単結晶シリコン」は結晶が規則正しく並んでいる為、変換ロスが少なく変換効率が高いシリコンとなります。
「多結晶シリコン」は端材のシリコンや規格外のシリコンを含む為、コストは低く済みますが、その分結晶が不規則になるので変換ロスが生じる為、「単結晶シリコン」に比べて変換効率が下がるのが特徴です。
「薄膜シリコン」はその名の通り、薄い膜でできたシリコンの為、薄くて軽いのが特徴で多様な屋根に設置できます。単結晶や多結晶に比べて圧倒的に生産コストが安いのですが、変換効率も低くなります。


また、「化合物パネル」はCIS系パネル共呼ばれており、
CISというのは銅、インジウム、セレンを原料とする化合物半導体で作られたパネルを指しています。
低コストで生産できる為、今後の市場に期待されるパネルとされています。
変換効率は結晶系パネルに現在は及びませんが、高温による発電ロスに強いとされています。

パネルの枚数

太陽光発電の発電量はもちろんパネルの枚数によっても変わります。
設置する屋根の大きさによっては、載せれるパネル枚数は変わってきます。
枚数が多くなればなる程発電量も多くなりますが、パネルの枚数分の費用が発生するので注意しましょう。
また、パネルの公称最大出力によっては枚数が少なくても発電量が多くなったり、更に公称最大出力が低いパネルで枚数を増やす方が、コストが抑えられたりと、
公称最大出力数値とパネル枚数は大きく発電量に関係してきます。

日射量とパネル設置の方角・角度

太陽光発電システムは日射量によって発電量も大きく変化します。
日射量の多い地域や、1日を通して太陽が長い時間のぼる夏と、太陽ののぼる時間が少ない冬とでは発電量も変化してきます。
その為、年間を通して発電量は一定ではありません。
設置する屋根の面の方角などは重要になってきます。
基本的に南面設置を中心に、東や西などは設置できますが、完全に北面設置となるとメーカーの設置基準に反してくる可能性もあります。
北面設置でどうしても導入したい場合もあるかと思いますが、思っている発電量は見込めないでしょう。
また、屋根の角度によっても変化します。発電に向いてる勾配は30度前後が目安とされています。

発電量の損失に影響する要因

パワーコンディショナーにおける変換ロス

太陽光パネルは十分に発電していても、太陽光発電システムは電気エネルギーの変換の際に変換ロスというものが生じます。
太陽光パネルで吸収したエネルギーは直流の電力の為、パワーコンディショナーという機器に通されて、ようやく家庭で使用できる交流の電力に変わります。
ですが、直流から交流に変換される際に変換ロスがおき、元の発電量に対して約5%程ですが発電量の損失がおきます。

パネルの影や汚れ

産業用などでパネルの直置きをしている場合には、周辺の雑草などが伸びてきた場合に影になり、発電量の損失に繋がるケースがあります。
更に住宅用の屋根などでは、鳥の糞や、飛んできた落ち葉などの小さな影でも、パネル全体の発電量に影響を及ぼしてきます。

劣化による低下

太陽光パネルの出力は永久的ではない為、劣化により出力は低下していきます。
10年間で約2〜3%の出力は低下するとされています。
その為に、メーカーでは10年、15年とモジュールの出力保証も提供しています。
有償にすると更に長く保証を受けられる場合があります。

高温による発電損失

太陽光パネルは気温25度の時点での発電量を最大値としており、
それ以上、気温が上がる場合には1%ずつ発電量は下がっていきます。
ですが、パネルの中には高温に強いとされている化合物系パネルもありますので、色々なパネルの種類を検討してみるといいかもしれません。

まとめ

今回は太陽光発電システムにおける、太陽光パネルの発電量についての基礎知識をお伝えいたしました。
発電量に関わってくる要素はいくつもあり、更に発電量の損失となる要因もいくつもあります。
色々な状況を考慮して、各家庭にとって1番発電量を確保できる設置をしていきたいものです。
その為には、知識を元に色々なメーカーの商品を比べてみる必要があります。
更に、発電量については発電シミュレーションとして年間の発電量をデータでみることが可能です。
販売店やメーカーに発電シミュレーションを依頼して、比べてみるのも良い方法かもしれません。
お得に太陽光発電を導入できるように、専門の販売員の方に色々と質問してみることも重要です。